「視覚障害者」と「柔道」〜視覚に障害のあるお子様の保護者さまへ〜

幼児・小学生クラス<稽古風景・古典素読・勉学・しつけ> 2015年2月16日
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志道館 道場の中

目が不自由なのに、柔道なんて!と思ってませんか?

 

「視覚障害者柔道」とは?

1931年京都府立盲学校で、当時の「体操科」の内容の一つとして初めて柔道が取り入れられました。その約50年後、1983年筑波大学で全国盲学校72校を対象に実態調査を実施した結果柔道を行っている盲学校は、中等部15校、高等部22校であった。と報告されています。ただ、近年では指導者不足や「危ない」という理由で柔道を廃止する盲学校も多いと聞きます。

海外では視覚障害者を始め、障害者に対する柔道療育の研究が実施され、視覚障害者柔道について以下の様な報告がされています。

 

視覚障害者柔道に対する柔道の試みでは、Lignac,B.;Weil,M.(1987)らが、完全盲目者と半盲目者のためのじゅうどうについて運動学的に研究した。Loetje,R.(1981)は、柔道コーチが視覚障害を持つ18人の子ども達のグループに柔道を教えた経験について報告した。視覚障害の子ども達への柔道指導で、考案した特別の練習や設備について用意し、スポーツを単に教えることだけでなく、子ども達の自信を構築し、荒れた気持ちを低下させる手段として指導した。その結果、顕著な傾向として障害のなかった子ども達とうまくコミュニケーションが図られ統合ができたことを挙げている。

※國士舘大学 武徳紀要 第28号「障害者と柔道療育の可能性-障害者柔道療法の事例研究」

中島たけし(國士舘大学)、徳安秀正(東京有明医療大学)、岡田龍司(近畿大学)、田村昌大(順天堂大学)、橋本昇(東京有明医療大学)、肥後梨恵子(國士舘大学)、佐々木武人(國士舘大学)より抜粋。

 

 

幼少期に柔道に取り組むことの効能は以下のコラムでも掘り下げていますので、ご覧下さい。

 

子どもの発育発達に最適な柔道①

子どもの発育発達に最適な柔道②

子どもの発育発達に最適な柔道③

 

 

目が不自由だからと言って危険から遠ざけるのではなく、目が不自由だからこそ、柔道で心身を鍛え、自己肯定感を高め、自信を持って何事にもチャレンジするたくましさが必要なのではないでしょうか。

 

国際的競技としての「視覚障害者柔道」

1981年にはIBSA(国際視覚障害者スポーツ協会)が結成され、この組織を中心に柔道のみならず、多くの視覚障害者スポーツの国際大会が開催される様になりました。また、視覚障害者柔道は障害者スポーツの最高峰であるパラリンピックの種目でもあります。

 

視覚障害者の柔道はお互いが組んだ状態で試合や練習をします。このことだけをルールとして決めておくと健常者と同等に試合や練習ができます。したがって、競技は障害の程度によって区分せず、体重別によって行なわれます。また、段位は、健常者と同様に講道館で取得します。

※NPO法人視覚障害者柔道連盟 競技紹介より抜粋。

 

上記のように視覚障害者柔道は、一つのルールを除いては健常者の柔道とほぼ同様です。

ここに他の視覚障害者競技にはない面白さがあるのではないでしょうか。健常者に混ざって稽古をすることも可能です。また、国際的にも視覚障害者柔道愛好家は急増しており、2014年にアメリカで開催された世界選手権には、40カ国約250人の選手が参加しました。

 

 

志道館は視覚に障害のあるお子様を積極的に受け入れています

 

柔道に取り組むことで、昇段という目標や、パラリンピックという夢を持ち、人生を歩むことができます。

志道館では、視覚に障害のあるお子様にも積極的に柔道に取り組んで欲しいと考えています。

 

・子どもに自信が持てるものを身につけさせたい。

・たくましく強く育って欲しい。

・夢や目標を持って人生を生きて欲しい。…

 

視覚に障害のあるお子様に対し、こんな思いでいらっしゃる保護者さまもお気軽にお問合せ下さい→問い合せフォーム

 

 

 

 

志道館では、2020年に東京で開催されるパラリンピックを目指し、選手育成に取り組んでいます。詳しくはこちらをご覧ください。

Blind Judo Project 〜2020東京パラリンピックを目指して〜

 

 

 

 

 

館長 坂東真夕子

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