志道館五訓に込めた想い

館長コラム・講演・対談 2015年4月21日
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坂東真夕子 家族写真

※写真は弟が生まれる前の家族旅行。両親がいなければ、今の私はありません。何不自由なく、柔道に打込ませてくれた父と母には、今も感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 志道館 五訓

 

志道館 五訓 書

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

志道館には五訓があります。志道館設立時、私自身で考えました。「実語教」や「教育勅語」、柔道精神を元に、先人の教えを凝縮したのが【志道館五訓】です。子供のクラスも大人のクラスもこの五訓を復唱してから稽古を始めます。私よりも長く人生を生きている50代の塾生さんも「この年齢になっても五訓に書かれていることの大切さを痛感する」と仰っていました。やはり本質とは、永久不変なのだと感じます。今日はそんな【志道館五訓】についてお話ししたいと思います。

 

親に感謝しよう。

【志道館五訓】にはその順番にも意味があります。まずは、とにもかくにも、自分を産み育ててくれた(育ててくれている)「親に感謝しよう」。その気持ちがなければ、志も立てることはできないでしょうし、他者を思いやる心も生まれないのではないでしょうか?ましてや、世の役に立つ人になど、なれないのでは?

経団連第4代会長の土光敏夫氏は、石川島播磨重工や東芝の社長や会長を務めました。自身の会社の人事担当者には、「孝行者を採用せよ」と口酸っぱく言っていたそうです。「親を思う気持ちがある者は、人間の基礎が出来ているから、仕事もできる」という理論だったそうですが、それは大いに頷けます。

また、265年間の長期安定政権を実現した江戸時代、その基礎を築いたのは紛れも無く徳川家康です。その徳川家康は、「親孝行」を国の基にしたと言います。

志道館でも、「親に感謝する気持ち」は人間としての基礎であると考え、五訓の第一義に据えました。

 

志を立て学び続けよう。

そもそも「志」とは何か?江戸時代には「志=世の中の役に立つ大人になること」だったと言います。「世の役に立つ」という前提がなければ、せっかくの「志」も意味のないものになってしまいます。親や社会から享受した恩恵を、大人になって世の中に還元していく、その為の「志」ではないでしょうか。そして、その「志」を実現するためには、努力が必要です。私は人間とは、死ぬ直前まで学び続ける事ができる生物であると思っています。「志」があるから「学び」も深まり、より豊かで充実した人生を過ごすことができるのだと、思います。

 

相手を思いやる心を持とう。

これは柔道の「自他共栄」の精神です。柔道は相手があって始めて成り立つ武道です。決して一人で強くなることはできません。ちょっと柔道が強いからといって、稽古相手を不遜に扱うような言動があってはいけません。私自身、選手時代にどこまで相手を思いやることができていたかと言うと、正直甚だ疑問です。逆にいうとそういった心が欠けていたから、自分が思うような結果を残すことができなかったのかも知れません…。大いに反省すべき点です。

 

覚悟を決めてやり遂げよう。

「志」を果たすには、覚悟が必要です。時には、他者から冷たくされたり、批判を受けたりするかも知れない、結果が思う様に出ないかもしれない。人生は、嬉しい事、思い通りにいくことよりも、悲しかったり悔しかったり、思い通りにいかないことの方が多いのではないでしょうか。そんな時、覚悟がなければ、人間はすぐにぶれてしまいます。私も含め人間は元来弱い生き物です。それを自覚した上で、「志」を果たそうとするには覚悟が必要です。

 

世の役に立つ人になろう。

今世での人間としてのゴールです。柔道の創始者嘉納治五郎先生は、その遺訓の中で、柔道修行の究竟の目的とは、「己を完成し、世を補益すること」であると仰っています。

誰かの役に立とう、世の役に立とうと思ったら、まずは自分自身を鍛えることです。自分が心身ともに弱ければ、人のこと、ましてや社会のことを思う事はできないでしょう。物質的には経済的に自立することも大切だと思います。

 

 

オックスフォード大学が発表した「The Future of Employment」(未来の雇用)というレポートでは、“これから20年以内に、いまの労働者が就いている職業の47%が消失される”と言われています。今の子ども達が大人になる頃には、今の私たちでは到底想像もつかない社会になっているかも知れません。情報過多で、価値観が多様化し、先の見えない現代社会だからこそ、「人間としての根っこを張っているか」、ということがとても大切です。【志道館五訓】は、その人間としての根っこであると考えています。志道館に通う子供たちには、今のうちに根っこを深く深く伸ばして欲しいと思いますし、大人の方には、ご自分の根っこを振り返りさらに強固にしていただきたいと思っています。

 

 

 

館長 坂東真夕子

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