志道館杯を振り返って その2~「勝ち」より...
港南道場 2020年2月26日志道館杯は、「勝利」だけを目指す大会ではありません。子ども達が、大会という場を通して「成長」することを最も大切にして...
志道館杯を振り返って その2~「勝ち」より...
志道館杯は、「勝利」だけを目指す大会ではありません。子ども達が、大会という場を通して「成長」することを最も大切にして...
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「できない」のではなく、「やっていない」だけだ。
この言葉は、私が大学4年生の時に、ある有名選手にかけていただいた言葉です。
その選手は81㎏級ながら体重無差別の「全日本選手権」にも出場し、日本のトップレベルで活躍されていました。よく國學院大學に出稽古に来てくださり、稽古後の反復練習の受け役として私を選んでくださっていました。
ある日、出足払の打ち込みを受けていた私に「綾川もやってみなよ。」と勧めてくださったのです。しかし、私は「足技はできないので受けだけで大丈夫です。」とお断りしてしまいました。その時かけていただいたのが、この言葉です。
その方は続けて「『できない』技なんてない。『やる』か『やらない』かの差だけだ。」とおっしゃりました。私は自分で「技の壁(限界)」を作っていたことに気づき、その日から一緒に足技を練習するようになったのです。
あの経験があったからこそ、社会人になってから出場した大会において、何度か足技で勝つことができたのだと思います。
私は、技の習熟段階には3段階あると考えています。
①知っている
名前すら知らなかった技を、聞いたり見たりして知った段階。何となく技のイメージはあるが、打ち込みはできない。
②できる
反復練習を繰り返し、打ち込み・投げ込みや約束練習など、特定の条件下なら技をかけられる段階。乱取りや試合ではかからない。
③使える
更に反復練習を繰り返し、身体と頭に技を染み込ませ、頭で考えなくても、反射として技がかかる段階。どんな相手からも一本をとれることが理想。
私自身の選手・指導者としての経験上「①知っている」から「②できる」までは、比較的簡単に移行できると思います。ただし、「③使える」の段階まで高めていくことは非常に難しいです。その理由は、「意識・意欲・継続」が必要となるからです。技術の要点・理合を正確に「意識」して練習する。高い「意欲」を持って取り組む。使えるようになるまで、根気強く「継続」する。つまり、技が「使える」ようなるためには、「この技を使えるようになりたい!」という内発的モチベーションが必要なのです。
志道館では、1ヶ月をかけて1つの技を練習・探究します。(ちなみに、4月の幼年部・少年部は「後ろ回り捌きの大腰」、成年部は「三角絞からの崩上四方固」です。)
日々の稽古を見ていると、皆さんの技術が少しずつ進歩していくのがよく分かります。皆さんの技が上達していく理由は、自らの意志で「この技を使えるようになろう!」と稽古に励まれているからに他なりません。志道館の指導スタッフは、常に「小さな成長・変化」を見逃さず、塾生様のモチベーションが上がるよう、丁寧かつ具体的なアドバイスを心がけております。
初心者の方は受身から、経験者・熟練者の方は更に美しい技の習得を目指し、一緒に柔道をしませんか?
柔道を通した成功体験は、きっと実生活でも生き、自己肯定感にもつながるはずです。志道館はこれからも「知らない」・「できない」・「使えない」という「技の壁」を越えるサポートを続けてまいります。
綾川 浩史
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