「文武一道塾」の昇級試験〜昇級試験を通した成長〜

港南道場 2019年7月22日

突然ですが、問題です。
「嘉納師範遺訓」の（　　　　）内に入る言葉は、それぞれ何でしょうか？

柔道は（　①　）を最も有効に使用する（　②　）である

その修行は（　③　）の練習に由って身體精神を（　④　）し、斯道の神髄を體得する事である

さうして是に由って（　⑤　）し（　⑥　）するが（　⑦　）の究竟の目的である

この問題は、志道館が小学生に実施している昇級試験の一部です。多くの小学生が「嘉納師範遺訓」を暗誦しており、空欄に入る語句を全て漢字で書ける塾生もいます。

※答えはコラムの最後にあります。

現在、小学生を対象に昇級試験を実施中です。この試験に合格すれば、帯の色が変わります。試験当日の子どもたちは、心なしか、いつもより緊張しているようです。早めに来て、復習をしている子どももいます。

志道館の昇級試験は、「技術」のみを見るものではありません。「文武一道塾」の名にふさわしく、「心」、「頭」、「体」がどれ位成長したかを確認します。

級毎に内容は異なりますが、今年実施している主なものをご紹介します。

①筆記試験

・嘉納師範遺訓　ブランク問題　※ひらがなでも可

・論述問題

「あなたが柔道修行で学んでいることは何ですか？また、その学んだことを道場以外の場所でどのようにいかしたいと思いますか？」

小学生にとってこの問題は、難しいと思われるかもしれません。しかし、普段から遺訓の復唱をしたり、それぞれの柔道修行に対する考えを、ノートにまとめているので大丈夫です。みんな、１５分以上かけて黙々と書いています。

②実技試験

・「志道館五訓」暗誦

・礼法

・前回受身

・投げ込み（大腰・隅落）

・投の形（内股）

・抑え込み（袈裟固・横四方固・上四方固・フライパン返し）

・技に入るきっかけ作り（釣り手の振り→呼び込み→連絡技２つ以上）

・乱取り（１分×２〜４本程度）

など

「隅落（すみおとし）」や投の形の「内股」など、難易度の高い技もありますが、これらも普段から練習をしているものです。技がしっかりと身についているか、受けも上手くできるかを確認します。

乱取りは、勝ち負けに一切こだわりません。稽古したことをどんどん試しているか、きちんと受け身をとれるかが重要です。

③「志道館７つの習慣」の徹底

全ての項目を表にして、「○」「×」をつけていきます。７回分の稽古でチェックします。ただし、「○」「×」を判定するのは自分自身です。中途半端な「△」はありません。この経験を通し、自分を客観的に、厳しく見つめ、己を律する習慣を身につけてほしいと思っています。「誰かに言われたから」、「誰かがいるから」やることは、「習慣」ではありません。

週１回の稽古だと、チェックし終わるまでに約２ヶ月かかりますので、良い習慣を身につける絶好のチャンスです。全項目が「○」になるように、みんな頑張っています。

子どもも大人も、帯の色が変わるのは嬉しいものです。昇級試験は、稽古をする上での大きなモチベーションにもなります。合格をすれば大きな自信になるでしょう。ただ、不合格だったとしても、得るものは多いです。自分の現状を知り、正面から向き合うことでたくましく成長することができます。

子どもたちには、「できた喜び」、「できなかった悔しさ」を今後の糧にしてほしいです。

塾生のみなさん、昇級試験の結果発表は、「志道館７つの習慣」のチェックが全部終わってからですよ。筆記試験、実技試験が終わったからといって気を抜かず、普段の稽古、生活を大切にしましょうね。結果発表の時には、坂東館長の温かいコメントが入った評価用紙もお渡ししますので、楽しみにしていてください。