【柔道×子どもの成長】掃除が教えてくれる〜道場で身につける“生きる力”とは〜

幼児・小学生クラス<稽古風景> 2025年5月21日
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なぜ柔道場で「掃除」が大切なのか?

柔道と聞くと、「体を鍛える」「礼儀を学ぶ」といったイメージを持つ方が多いと思います。
しかし、柔道場では技や体力だけでなく「掃除」もとても大切にされています。
 
子どもたちが稽古の後に道場を丁寧に掃除するのは、ただの“お手伝い”ではありません。
そこには、日本の武道に根付く《場を清める》文化や、感謝の心を育む意味が込められています。
 
 
 

掃除を通して育まれる「心の土台」

柔道場での掃除を習慣にすることで、子どもたちは次のような成長を遂げていきます。

1. 礼儀と感謝の気持ちが自然と身につく

道場は「稽古をさせてもらう場所」。
自分が使った場所をきれいにすることで、「ありがとう」の気持ちを形にする習慣がつきます。
 
 

2. 自主性と責任感が育つ

やらされている、という感覚ではなく、子どもたち自身が「どこをどのように掃除すべきか」を考え、行動するようになります。これが自律心責任感を養う第一歩になります。
 
 

3. 仲間との協力が学べる

分担は決めますが、それぞれの場所を担ってみんなで掃除をします。
子供たち同士で声を掛け合いながら動くことで、協調性が自然と身につきます。
 
 
 

年齢によって異なる「掃除の意味」

志道館では、3歳の幼児から小学校高学年まで、みんなが一緒になって掃除をします。
年齢によって掃除の意味や、そこで得られる学びは少しずつ異なります。
 

幼児(3歳〜未就学児):まずは「まねること」からスタート

この年齢の子どもたちは、まだ掃除の意味を深く理解するのは難しいかもしれません。けれど、掃除をしている「お兄さん・お姉さん」の姿を見て、自然とまねることが大きな第一歩です。
うまくできなくても、小学生たちが優しく教えてくれます。
 
雑巾がけする幼児
 
最初は思うように雑巾を使えなくても、だんだんと手の動かし方、拭きながら移動すること、などに馴染んできます。
幼い子供たちにとっては小学生が自在にホウキを使う姿は憧れのようです。
 
「やってみたい!」という気持ちを育てる時期なので、「できたね」「ありがとう」をたくさん伝えるようにし、「掃除をするのは楽しい」「綺麗になると気持ちがいい」ということを感じでもらえたらと思っています。
 
 
 

小学生:自分で考えて動く力を育てるステージへ

小学生になると、掃除に対しての理解も少しずつ深まります。
「どうして掃除をするのか」「どこをきれいにすべきか」を自分で考えて行動する力が育っていきます。
 

 
掃除の仕方は最初に伝えますが、そこから工夫する子も出てきます。
「僕がこっちをやるから他のところをやって」など、リーダーシップを発揮する子もいます。
自分の行動が道場全体の空気を作ると知ることで、責任感と自立心が育つと考えます。
 
また下の子どもたちに教える立場になることで、どうしたら伝わるか、思考力も鍛えられます。
「黙って掃除をする」ことよりも大事ですが「気づいて動ける子」になることは、他のために我が身を使うという柔道の精神にもつながっていきます。
 
 
 

すべての成長は「掃除」から始まる

掃除の時間は、ただの雑務ではありません。
年齢に応じた関わり方で、「まねる力」「気づく力」「考えて動く力」が育ち、人としての成長の土台となっていきます。
 
道場の稽古は技を学ぶ時間、掃除は心を育てる時間。
どちらも、子どもたちの「これから」を大きく支えるものです。
 
「四角い道場を丸くはかない」

「畳の目に沿ってホウキを使う」

「隙間をあけずに丁寧に畳を拭く」

「ものが置いてあったらそれを手で動かしてそこもきちんと掃除をする」
 
一つ一つは些細なことかもしれませんが、丁寧に取り組む・最後までやりきる・責任を持って終わらせる、という取り組みの姿勢はどんなことにも役に立つはずです。
 
 
 

柔道で身につける「技術」+「人格」

柔道の創始者・嘉納治五郎師範は
「柔道は人間形成の道である」
という言葉を残しています。
 
 
つまり、柔道は勝ち負けを競うだけのものではなく、生きていくための“心の力”を鍛える場なのです。掃除はその大切な一部。だからこそ、道場では毎回、稽古の後に掃除を行います。
 
 

掃除の時間も「稽古」です

「うちの子は掃除が嫌いで…」「稽古の後に幼い子供まで掃除を手伝う意味ってあるの?」
そう思われる親御様もいらっしゃるかもしれません。
 
道場での掃除の時間は、柔道の稽古と同じくらい大切な学びの場です。
続けていくうちに、お子さまの表情や姿勢が少しずつ変わっていくのを、きっと感じていただけるはずです。
 
 

掃除で磨かれる、技よりも大切なもの

柔道場での掃除は、「きれいにする」ことだけが目的ではありません。
それは感謝の心を形にする行為であり、心を整える時間です。
体を鍛え、技を磨き、そして人としての土台を作る――
 
志道館では、そんな成長を子どもたち一人ひとりに寄り添いながら、サポートしていきます。
 
 
 
 
 
 
 
館長補佐 近藤智子
 
 
 
 
 
 
 
 

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