【柔道のチカラ】柔道で育むリーダーシップ

館長(コラム・講演・対談) 2024年3月12日
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リーダーの役割とは?

リーダーの役割とは、端的に言うと「成果を出す」ことだと、私は認識しています。
「成果を出す」ためには、課題を見出だし、課題解決のために最適解を考え実行することが必要です。
 
 
 

緒方貞子氏のリーダーシップ

先日あるテレビ番組で、日本人初の国連難民高等弁務官・緒方貞子氏の特集が放映されていました。
その番組では、緒方氏の生い立ち・功績と共に、緒方氏のリーダーシップについて、分析がなされていました。
 
緒方氏の母校である聖心女子大学では、「自立・知性・協力」という教えがあるそうです。
その教えが、緒方氏の在り方に影響を与えたのではないかと、番組では紹介されていました。
 
「自立・知性・協力」は、リーダーシップの定義そのものだと、私は思いました。
 
 
 

歪(いびつ)な現代日本

少し話しが逸れますが、2024年3月4日、日経平均株価が史上初めて4万円を超えました。
株価は景気の先行指標ですので、数か月後先に期待が持てるニュースかも知れません。
 
一方、日本は自殺の多い国として知られています(人口10万人対自殺率はG7加盟国の中で常にワースト)。2022年の自殺者数は2万1,818人。
また、2023年の生活保護申請件数は25万5079件と、この11年間で最多だったそうです。
 
 
日経平均株価4万円超え・自殺者数2万人超え・生活保護申請件数25万超え。
それぞれの数値の時期は多少違えど、なんだか歪(いびつ)な感じがするのは、私だけでしょうか。
 
今の子どもたちは、この先行き不透明な時代を生き抜いていかねばなりません。
そのためには、一人ひとりがリーダーシップを持つことが必要だと考えています。
 
例えば、経営者や組織のマネージャー等、大勢の前で旗を降ることだけがリーダーシップではありません。
 
自分自身が人生のリーダーであること。
人生の様々な課題や困難に向き合い、解決する。
リーダーシップとは人生を力強くしなやかに、心豊かに生きるためのスキルなのです。
 
 
 

「自立・知性・協力」を柔道で育む

①自立した人になる。

まずは「自分のことは自分でできるようになる」ことが大切です。
柔道衣着用は、子どもたちにとって慣れるまでは、やや難しいです(ズボンの蝶々結び,帯結び)。また、柔道衣には畳み方もあります。
 

 
私たち大人(指導者)がやってあげた方が早い場面は、幾度となくありますが、子どもたちの自立を促すためにも、大人の手伝いは最小限に留めています。
自分のことが自分でできるようななって初めて、他者のために力を使える人になると考えています。
 
 
また、柔道は相手と一対一で組み合う武道です。
一度相手と組み合えば、頼れるのは自分だけです。周囲にどんなに応援されようとも、やるのは自分。
日々の柔道修行は人生そのものではないでしょうか。
 

 
 
 

②知性的な人になる。

知性の一つに「言語化能力」があると考えています。
自分の気持ちや意見・情報を、周囲に共有するためには言語化することが必要です。リーダーには必要なスキルです。
「言語化能力」を高めるためには、様々な言葉に触れ、それらの言葉をインプットしなければなりません。
インプットがなければアウトプットもないからです。
 
志道館 幼児・小学生クラスでは、日本人千年の教科書とも呼ばれている「実語教(じつごきょう)」の“素読(そどく)”に取り組んでいます。
 

 
“素読(そどく)”とは、江戸時代の寺子屋でも取り入れられていた「人間性を磨く」ための学習方法です。
記憶力がよくなるばかりではなく、抑制力・創造力・論理的思考力が伸び、脳の前頭前野両側の体積が増えることが証明されています。
 
「実語教の素読」は、美しい日本語のリズムと共に、多くの言葉を子どもたちの心身に染み込ませてくれることでしょう。
 
 
 
 

③協力できる人になる。

柔道の創始者 嘉納治五郎は、柔道について「始めに譲って、終局には勝つ道である」と述べています。
緒方貞子氏は、何かを決める時には必ず当事者たちの意見を聞いて、対立を避けた上で、リーダーとして決断を下していたそうです。そのエピソードを知った時に、私は前掲した治五郎の言葉を思い浮かべました。
 
治五郎もまた、当時の社会の中で大いにリーダーシップを発揮した人物です。
柔道の技術は、力と力の衝突を避け、相手の力をも利用し、相手に致命傷を負わせることなく制圧する高度なものです。
柔道を学ぶことで自ずと、強い信念を持ちながらも、他者と協力をしながら、課題解決に向かえる人になることでしょう。
 
 
文武一道塾 志道館は、柔道を通して子どもたちのリーダーシップを育む場でありたいと思います。
 
 
 
 
 
 
 
館長 坂東真夕子
 
 
 
 
 
 
 

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